陶芸豆知識
粘土の再生
最近は流通が発達しているので、作家としておやりになっている方は別として、趣味で陶芸をおやりになる方が粘土を再生することは少なくなりました。
再生の手間や保存スペースのことを考えると買ってしまった方がむしろ経済的ということと再生した粘土を使うといろいろな産地の粘土を使って楽しむということが出来ないなどの理由から、粘土を再生するということがなくなってきているのだろうと思います。
そういう意味では、あまり役に立たないかもしれませんが、決まった産地の粘土をある程度大量に消費している方向けということで、私の経験からお伝えします。
おそらく皆さん、購入した粘土の保存の仕方が悪く購入時の袋のままかちかちに乾燥させてしまった経験があるのではないかと思います。
そんな時はどうするか…
袋から出した粘土の塊をそのまま頭が出ないように大量の水に浸してください。
数日で中まで水が浸みますので、そのまま引き上げて練ってみてください。
外側はべちょべちょなので練りにくいですが、比較的簡単に柔らかい粘土に再生できます。
いったん固まってしまった粘土は、細かく砕いて再生するのが一般的ですが、その方法だと粘土に粘りがなくなり長期間寝かさなくては使えません。
ところが塊のまま処理すると、粘りがなくなることが少なく、再生してすぐに利用可能です。
もちろん粘土に大きなこだわりのある方は充分寝かしてくださいね。
そしてもう一つの方法。
今日はこちらがメインです。
今朝は冷え込みが厳しく、我が家のメダカ鉢には氷が張り、庭にはけっこう長い霜柱が立っていました。
こういう冷え込みの厳しい時期が粘土再生の楽な時期なんです。
冷たいのを無視すればということですが…
土練機があれば問題ないですね。
作品の削り等で出た大量の粘土を水に溶かします。
ある程度、水を抜いてべちゃべちゃな感じにします。
ちょうどどべといったくらいでしょうか。
それを板の上でもビニールシートの上でもかまいませんので、山(というより丘といった感じでしょうか。大きな饅頭とかかまぼこというようなイメージです)を作ります。
そして、その上に直射日光や風が当たらないようにシートのような物を被せ、一晩おきます。
粘土が凍ることが重要です。
翌日、そのまま放置しておくと、凍った水が粘土の山に入ったヒビから流れ出し、余分な水分が抜けてちょうど使いやすい固さになります。
もちろん、少ない粘土では難しいですよ。
どんなに少なくても10㎏以上はあった方がうまくいくと思います。
出来れば数十キロという単位です。
大量に粘土を使用している方は、ぜひ試してみてください。
粘土が凍ることが必要なので、どこでも出来るというわけではありませんが。